2007年04月01日
芝桜公園を作った男
道々網走川湯線を走り、大空町東藻琴市街地を抜けた辺りに、突然ピンク色に染まった小高い丘に出る。この村屈指の観光名所「芝桜公園」である。総面積は約8ヘクタール、東京ドームが2つ入る広さだ。ピンクの色の正体はシバザクラという宿根草の花びらで、これが山一面を覆っている。この芝桜公園を丹念に整備し作り上げた人がいる。
中鉢末吉さんは1918年(大正8年)生まれ。東藻琴でハッカなどを栽培する農家をしていた。ある年、留辺蘂町に住む姉の庭にあったシバザクラを少しもらってきて、自分の畑の隅に移植をしたのがきっかけで、花はどんどん広がっていった。広さが1反(10アール)くらいにまで広がると、村の人たちにも評判になった。
そんな時に、当時ユースホステルを経営していた温泉管理公社から、ユースの裏山にシバザクラを植えてほしい、という依頼がきた。1976年(昭和51年)58歳になっていた中鉢さんは農業をやめ、公社の職員として、毎日毎日シバザクラの植え付けをする生活に変わった。といっても丘の斜面は平均30度くらいの傾斜、場所によっては45度という険しい斜面である。そこには当時は一面ダケカンバ、クマザサ、トクサが生い茂っていた。これを少しずつ開墾していくのだから、未開の北海道に入植した人たちと同じような有様だった。急斜面だから機械や馬も使えない。
開墾し新しい株を植え付けし、前に植えた株の周囲の雑草を抜き、肥料を与えるといった作業を春から秋まで続けて1年が終わる、という生活が続いた。そして1984年(昭和59年)芝桜公園としてオープン、この年の入場者は約1万人であった。

中鉢末吉さん
シバザクラは和名で学名はフロックス・スプラータという。もともと日本にあった植物ではなくハナシノブ科の北米原産の宿根草である。背はあまり伸びずに地をはうように四方に広がる性質がある。1年中緑の葉をつけて、東藻琴では5月中旬から6月上旬に花の見頃を迎える。桜の形をした1cmほどの小さな花だが、8ヘクタールの広さに一面に咲きそろうと壮観である。(ひ)





