2010年08月23日
ユリの球根にかけた17年

<ユリの花が満開のリリーパーク>

<広大な敷地にユリの花が並ぶ>
国道334号線通称美斜線を小清水町市街から少し美幌方向に行った左手に「ゆりの郷こしみずリリーパーク」がある。起伏のある敷地には白、赤、黄色などのおびただしい数のユリが咲き誇っているのが国道からも見ることができる。このユリ栽培、農家の人たちが集まって事業として展開し始めた起業家のひとつだった。
小清水町の町花はエゾスカシユリである。浜小清水原生花園に代表されるように、もともとこの地方にはユリが自生していたことから話が始まる。
そこに着目したのが本州のユリ栽培だった。平成元年に山中重治さんの畑に委託栽培の契約をしたのがきっかけで、契約農家が少しずつ増えていった。
最初はユリの球根を育てるのが目的だった。だから、花はつぼみの時期にすべて摘み取っていた。ところがある年、つぼみを取らなかったことから新しい展開が生まれる。摘花を免れたユリがその年の夏には当然ながら、畑一面に咲いたのである。その風景を見た栽培農家の人たちは、このユリを観光資源として生かせないか、と考えた。
1997年(平成9)には現在地のすぐ近くの畑3ヘクタールに試験的にまとめて栽培してみると、新聞にその風景の美しさがすぐに紹介された。翌日からユリ畑を見に来る人たちが増え続け、今度は見物人のための駐車場も急いで整備しなくてはならなくなった。ここで栽培農家4軒と商工業者2軒とで「シナジーこしみず」という会社を設立、臼井博さんが代表になった。
そして町との協議で現在地の町有地を借り受け、翌平成10年には本格的にリリーパークとして開園することを決めた。農業者が観光事業に進出したのである。
リリーパークの敷地面積は13haでなんと東京ドーム約3個分の広さがある。そこで栽培されているユリは110種類700万輪といわれている。カサブランカを中心に、ほとんどがオランダからの輸入種で園内のショップではそれらの球根の他、切り花としても販売されている。起伏のあるリリーパーク全体を見て歩くには30分~40分かかるが、高齢者などのためにカートも用意されている。
最初のユリ栽培を始めてから17年、今では年間約8万人の入場者を迎えるに至った事業だが苦労と工夫の連続だった。開園の期間をより長く維持するための早咲きと遅咲き種の組み合わせ、北海道の広さをイメージする園内の花の色の並べ方、秋植えと春植え種の作業など、毎年、敷地のレイアウト図面がすり切れるほど試行錯誤を続けている。
この地で球根を育てると球根に新しい株ができる。これはどうも北海道特有の現象らしくて、輸入した若い球根は3年後には4,5輪の花をつけるように成長する。そういう付加価値を付けた球根を本州の切り花栽培農家に出荷する。リリーパークを訪れる人たちは花を見るために来る観光客ばかりではない。本州の切り花農家が花の実物を見にやって来る。オランダから輸入するよりも、栽培効率のいい球根がここには揃っている。
リリーパークでは期間中、常時25人ほどのパート従業員が働いている。延べの労働力としては5,000人分になる。シナジーとは波及効果、相乗効果というくらいの意味らしい。浜小清水原生花園は6月から7月下旬が花の盛りである。リリーパークの開園は7月中旬から9月上旬。ユリの町小清水町をPRすることによって、さらに球根出荷拡大に向けた取り組みはこれからも続く。(ひ)





