2010年07月05日

屋根にハマナスが咲く牧舎

<原生花園の展望牧舎>

小清水原生花園は網走国定公園のなかでも最も有名なスポットである。オホーツク海と海岸線に続く砂丘と、雄大な風景と多くの花々で、年間約80万人の観光客を魅了している。

ここが網走国定公園として指定されたのは1958年(昭和33)のことだが、植生の保存には関係者の長年の苦労が支えになっている。

1961年(昭和6)にフタトゲチマダニの大量発生が確認されて以来、北大を中心に調査が続けられた。ハマナス、ヒオウギアヤメ、エゾスカシユリなどが少しずつ外来の牧草に浸食されているという現状が指摘された。

また、1973年には近くを走る釧網線が蒸気機関車からジーゼル起動車にかわった。それまでは蒸気機関車からでる煙と火の粉が野火を起こし害虫の発生をおさえていた。

小清水町では北大の秋山茂雄教授の研究や伊藤浩司教授らの助言で、1983年(昭和58)4月に初めて原生花園の火入れを試験的に実施した。前年の秋に枯れた雑草があると、その下から新しい花の芽が出づらいということと、何度も大量発生するダニの駆除が目的だった。

その後、1993年(平成5)からは北海道が中心となり、小清水町や網走営林署など、それに辻井達一氏らの学識経験者で風景回復対策協議会を組織して野焼きの効果を研究した。

現在では原生花園を4つのエリアに分け、毎年4分の1ずつ火入れをしている。だから1つのエリアは4年ごとに焼かれるということになる。また、これまで中止していた湖畔側の町営牧場に馬の放牧も再開された。馬に園内にある雑草を食ってもらおう、という発想である。

オホーツク海岸の砂丘草原は面積97ヘクタールすべてが国有林(保安林)で、濤沸湖側の湿地草原は小清水町が離農跡地を40ヘクタールを購入し、小清水町農業協同組合所有地の126ヘクタールを借り受けて、これに民有地13ヘクタールを加えて179ヘクタール。この179ヘクタールの湿地草原と97ヘクタールの砂丘草原を合わせた276ヘクタールが小清水原生花園となっている。 ここで咲く花は40種類といわれている。

小清水町では1996年、町営牧場にこれまであった牧舎を4,800万円を投じて建て直した。景観に配慮した木造の建物は牧歌的な風景によくなじんでいる。もちろん一般の立入自由で南側には2階部分にテラス風の展望デッキもある。

この牧舎の屋根は防水加工が施され、付近の牧場の土をそのままかぶせられている。土のなかには80株のハマナスやエゾスカシユリの球根もそのまま移植されていて、季節になると牧舎の屋根には赤や黄色の花を咲かせている。(ひ)

<火入れのようす>


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