2010年09月06日

海抜0メートルから高山帯への30分のドライブ

雪のない季節しか走ることのできない道路。冬期間閉鎖の道路は各地にたくさんあるけれど、知床峠のように海抜0メートルから標高738メートルへ一気に車を走らせることの出来るコースはそう多くはないはず。標高738メートルは山の高さからいうと高山帯には分類できない標高ではあるけれど、そこは本州の感覚。

ここは知床。

知床峠は森林限界の境界線に近いところに位置している。

峠について車を降りると真夏でも涼しい気温に驚く。さらに、展望台に進むと、周りには大きな樹木はなく、高山帯の代表であるハイマツがびっしりと連なっている。

この知床峠の魅力は、峠から見ることのできる知床連山最高峰の羅臼岳の山容と、羅臼側の水平線に大きく横たわる北方四島の国後島のシルエット、そして海岸線からわずかな時間で高山帯に入り込む植生の変化である。サクラ、ミズナラ、ハンノキなどの樹林帯がやがて、ダケカンバの幽玄な樹型に変わり、視界が開けたところがハイマツ帯なのである。

ここまで来るのに30分。

冬期間の閉鎖が終わり、春の開通後の道路は除雪で出来た雪の壁。

ウトロの街では新緑が目に付く頃も雪の中の風景が続き、桜の花が美しい頃に、標高100メートルあたりではやっと新芽。

7月、蝉が鳴き始めるころに中腹にはチシマザクラの淡い桃色の花。

7月下旬には知床峠近くの湿地にミズバショウの白い花。

8月にやっと雪の解けた標高738メートルの峠は夏の様子に変わる。しかし、9月にはもう秋の気配。ハイマツの中にあるタカネナナカマドの紅葉がはじまり、10月には初雪。やがて吹雪も。そして積雪。ここでまた長い冬期間の閉鎖に入る。

これほど季節と追いかけっこをする知床峠の魅力は、標高の高低差で繰り広げられる変化だと思う。

ぜひ、車の窓に広がる知床の植物の変化を楽しみながら、一気に高山帯へと走っていただきたい。ドライブはよりいっそう快適になるはず。(さ)

<標高の変化が目で楽しめる知床峠>

<高山帯の森林限界へのドライブ>


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