2010年02月12日
ワカサギの氷下漁はサハリンからか
網走湖は汽水湖といって、海水が流れ込んで塩分がまじる湖である。この適度な塩分が様々な魚類の棲息には条件がいいらしい。
ワカサギ、シラウオ、鯉、鮒、スジエビ、シジミと魚種も豊富だ。漁業も5月から10月中旬までがシラウオ漁、9月から翌年3月までがワカサギ漁と、ほぼ通年漁期が続く。唯一4月だけが漁がないが、この頃にはワカサギの種苗卵のふ化事業があるので、網走湖で漁をする漁師さんには暇がない。
<結氷した網走湖でおこなわれる氷下漁>
西網走漁業協同組合は網走湖で漁をする人たちで組織されるが、現在組合員は約70戸。そのうち女満別の漁師さんは10戸。ほとんどが網走湖の女満別湖畔近くに住んでいる。
現在の漁業の中心はなんといってもワカサギ漁だ。網走湖のワカサギは道内でもいちばん魚形が大型だとされるが、人気の秘密はワカサギの味だといわれている。適度な塩分のため魚の臭みがないのだという。
網走湖は冬期間には結氷して一面の氷の原野と化すのだが、もちろん、この冬の間もワカサギ漁は続けられる。いわゆる氷下漁と呼ばれる特殊なやり方である。
この漁法は、2等辺三角形の底辺に当たる長さ120間の線上に30間間隔で氷に穴を開ける。この穴から先端にロープを結んだ長大な板を差し入れて穴から穴へロープを渡していく。
今度は両方の底辺の角から三角形の頂点の穴をめざして、同じ要領でロープを渡していく。この両辺の長さは150間になる。これでロープの三角形ができあがる。
次に底辺の中央に少し大きめの穴を開けてここから出ているロープに網をつなぐ。最後に頂点部分から出ているロープを引っ張ると自動的に網が水中に引きずられて入っていく。これで仕掛けは完了で、あとは先端のロープを巻き上げるだけ。
氷下網はきれいな楕円形になって、三角形の頂点へと引き揚げられる。この一連の作業を3人一組でこなす。冬の間、網走湖全域で10カ所以上も同様の仕掛けが設置される。
このちょっと特殊な漁法、実は誰が最初に考案したのかということになると、諸説があって議論が分かれるところらしい。
そもそも氷下漁は戦後、1949年(昭和24)頃から始まったものなのだが、それ以前は湖が結氷していない時期にしか、ワカサギ漁はやらなかった。それが突然始まったというのだ。 金野勇喜さんという人がいた。明治34年生まれ。昭和初期にサハリンに渡り、トッカリ漁をして暮らしていた。
戦後は網走に引き揚げ、数年トッカリ漁をしていたが、昭和23年に女満別へ移住。この人、なかなかのアイデアマンだったらしい。ある日、氷に穴を開けて刺し網を入れて鯉を獲っているところを地元の漁民に見つかった。
こんな方法で魚が獲れるのかと、たちまち話題になったらしい。その翌年から数軒の漁師さんが、氷に穴を開けて、それぞれがやり始めたようである。
その後、単なる刺し網の方法から少しずつ改良され現在に至ったと考えるのが自然のようだ。網走湖の氷下漁は全国に知られ、道内のほか、本州の結氷する湖の漁業関係者の視察が続いた。
氷に穴を開けて行う漁法はサハリン仕込みのものなのか、金野さんは100歳まで生きたが、自分が考え出したとは家族にも言わなかったそうである。(ひ)





