2010年06月07日

美幌町のクッシー騒動

<藻琴山の頂上から見た屈斜路湖、この風景の中にクッシーが存在していた?>

美幌町や美幌峠に多くの観光客を招くことになった「クッシー騒動」の発端になったのは、数人の中学生たちだった。1973年(昭和48)7月、北見市内から藻琴山に遠足に来ていた中学生が屈斜路湖を見下ろしながら、突然騒ぎ始めた。「あれはいったい何だ?」。中学生たちが指差す先には、大きくて怪しげな物体が泳いでいるような影があった。

「謎の巨大生物、目撃」のニュースは、やがて北海道のローカルな話題から全国的な話題へと発展し「ネス湖にネッシーがいるなら、屈斜路湖にはクッシーがいるかもしれない」と新聞やテレビが盛んに報道を始めた。

屈斜路湖の展望場所、美幌峠を有する美幌町は75年に町観光協会副会長だった前川市治朗さんが中心となって「クッシーを守る会」を結成。前川さんは「ネッシーとクッシー」なる唄まで作詞し「ビューティフル・サンデー」を大ヒットさせ、紅白歌合戦にも出場経験がある田中星児さんの歌唱でレコードとして発売された。

屈斜路湖は弟子屈町に位置する湖だが、美幌町は「クッシーを守る会」を結成し、さらに町内のあちらこちらにクッシーに似せたベンチやオブジェを設置する「クッシー百体運動」を展開したので、すっかり「クッシー=美幌町」のイメージが定着した。

79年にはクッシー効果で美幌町を訪れた観光客が百万人を突破。クッシーの形をした様々なおみやげものも飛ぶように売れ、わずかに数回目撃されただけの謎の巨大生物がもたらした特需には爆発的なものがあった。しかし、80年以降は目撃情報は皆無となり、突如として美幌町に舞い降りたクッシー騒動は徐々に沈静化しいく。

今では「クッシー」を口にする人も少なくなり、町内に残っているクッシーの形をした滑り台が、わずかに当時のなごりを伝えるだけである。

北海道では「クッシー」の他に洞爺湖で「トッシー」の目撃例があり、鹿児島県の池田湖にいるといわれている「イッシー」とあわせて「日本三大水棲獣」と呼ばれることもあるそうだ。(く)